FSC認証紙ってナニ?

ボックスティッシュの箱や封筒などでときどき見かける上のマーク、ご存知ですか?

マークにFSCと書いてあるとおりFSC認証マークです。

このマークがついている紙は、森の資源を守るためにきびしく管理された木材が使われていることを意味しています。

なぜ、FSC認証はつくられたのか?

現在、世界の森林は急速に減少しています。国連食糧農業機関(FAO)が発行する「森林資源評価報告書2020」によれば、1990年から消滅した森林は4億2000万ヘクタール。日本11の国土、11個分に相当するそうです。

 

温室効果ガスであるCO2を吸収して酸素を排出する森林がなくなると、CO2がどんどん増えて、地球の気温がどんどん高くなっていきます。毎年のように大きな自然災害が起こるようになりましたが、それも温暖化もその要因のひとつであると言われています。

 

世界的な森林の減少のほかに、日本でも大きな問題になっているのが、林業の衰退です。海外の違法伐採された安い木材に押されて、日本の林業は衰退の一途をたどり、放置された人工林が増えています。

 

こうした世界的な違法な森林伐採の問題に対処するため、設立されたのが国際NPOのFSC(Forest Council Stewardship)です。

 

FSCマークは、適正に管理された森林から切り出された木材を、適正に管理できる輸送業者や加工業者などを得て作られた製品としてFSCが認めた証です。

 

また、FSC認証を取得するためには、2種類の認証が必要になります。適正に森林管理された木材であることを示すFM認証とFM認証の木材を使用して紙などに加工されたことを示すCoC認証の2種類です。

FM認証を受けた森林から木材の輸送、加工、最終製品になるまで、すべての事業者が、CoC認証を得ている必要があります。一連の流れのなかに、CoC認証を取得していない事業者が一度でも入ると、その時点でFSC認証製品として取り扱うことができません。

 

FSC認証は厳格に管理された一連のつながり(サプライチェーン )があって初めて成り立つものであり、森林の保全と林業の持続性を両立させる「森のリサイクル」として注目されています。

 

印刷物を作られる方にも、できればFSC認証紙を使って印刷してほしいと思います。それが、違法伐採を減らすことにつながり、世界の森と適正な森林管理を行っている林業で働く人々を守ることにもつながります。

FSC認証紙と再生紙はどう違うの?

FSC認証紙は、通常の木材から使ったバージンパルプを使用しています。そのため、強度や白色度にすぐれ、印刷の再現性が良いと言われています。

 

一方、再生紙は、使用済みの紙を再利用して作られた紙です。資源の有効活用という点で評価されますが、FSC認証紙よりも強度や印刷の再現性の点では劣ります。

 

どちらの紙も、環境に配慮したものであり、用途によって使い分けできる環境が整っています。

FSC認証マークには種類があるの?

FSC認証マークは3種類あります。

 

FM認証の木材をCoC認証の事業者が運搬、加工、製品化したものは「FSCピュア」として100%のマークが表示できます。

 

次にFM認証を取得した森林の木材と、FM認証は受けていないが管理された森林として第三者機関に認めらた森林の木材を使ったものを「FSCミックス」としてミックスのマークをつけることができます。

 

3つめは、生活圏から回収されたものと工場や物流など産業回収品のみを使用して作られた製品に表示できるリサイクルのラベルです。

 

同じFSCマークでも、表示が少し違っています。今度気にしてチェックしてみてください。

どの印刷会社で印刷してもFSC認証マークを表記できますか?

それはできません。

管理された森林から伐採された木材が、製品化までに関わるすべての企業がCoC認証を受けていることが前提になります。そのため、FSC認証マークが付けられる印刷会社はまだそう多くありません。

印刷納期に変わりはありませんか?

通常の印刷工程の前に、FSCの認証期間にチェックを受ける期間が、平均して1週間から10日ほどかかると言われています。そのため、短納期の場合は厳しいことがありますが、ごくわずかですが、これまでの実績の積み重ねにより、FSC認証のチェックをパスできる印刷会社もあるようです。

今回は、FSC認証紙のお話でした。FSC認証マークを入れて印刷する場合、一般的にコストは若干高めになりますが、自然環境を守るためにも採用する企業が増えることを願っています。